株式会社マルホ


木材用語集



赤身(あかみ)
「赤身(あかみ)」とは樹木の髄の周りを取り巻く樹心に近い部分を指し、赤味を帯びているため「赤身」または「心材」と呼ばれる。これに対し樹木の外周に位置する樹皮に近い部分は色合いが明るく白っぽいため「白太(しらた)」または「辺材」と呼ばれる。「赤身」部分は、樹木の生長過程で白太(辺材)部分の木材細胞が成熟していった部分であり、この際、微生物の嫌いな樹脂や色素といった成分を合成し、強い抗菌作用をもったフェノール系の物質(タンニン)を生成する。これが、木材製品になった際に乾燥段階で水分と共に表面に溶けだし、白太が一時的に茶色く変色することがある。これが木材でいうアク(灰汁)である。








アク(灰汁)
木材でいう「アク」とは通常どの木材にも含まれている色素で、木材に沢山の水分が含まれている状態では、この水分の中にタンニンが溶けた状態で木材の中に溜まっている。
特にこの成分は木材の赤身部分に多く含まれ、アクによる材の変色とは水分をよく含んだ状態の木材から水分が抜けていく際に発生する現象で乾燥やアク抜きをすることで徐々に目立たなくなっていく。水分をよく含んだ状態の木材が製材段階でカットされた状態になるとその面から木材の呼吸作用によって水分(湿気)を吸収し、木が呼吸することによって内部に溜まっていたタンニンは呼吸による水分の移動で白太部分を通じて外に出ようとする。この状態の木材は表面が黒ずんだり褐色に変化していき、また降雨などがあれば余分な水分の吸収と呼吸により更にタンニンが出てくることで、変色が濃く現れることがあるが、その後、木材の乾燥と共にその色は少しずつ目立たなくなってくる。
タンニンはフェノール系の物質で抗酸化性、抗菌・静菌作用、抗ウイルス作用を示す物質でありお茶や渋柿などにも含まれている人体には無害の成分である。


次にアクが目立たなくなる過程の写真を掲載しておく。 ※アクの発生している材料を屋根下に並べ色の変化を見た写真。木材中の水分が乾燥により抜けるとともに徐々にタンニンで褐色に変化した部分は目立たなくなってくる。その他の変化として太陽の紫外線により材の変色(飴色)が出ている。





























あて(陽疾)
「あて(陽疾)」とは斜面に生えていたり、風を常に受けるような状態にある木が、自己防衛のためにつける筋肉のようなもので、内部応力の働いた強い組織となっている。
原木から製材し乾燥する段階でストレスの解放からくる変形や収縮を起こしやすく、この材の特徴としては、節の発生率が低く、乾燥に伴い半径方向、接線方向への収縮率は小さくなるが、長さ方向(軸方向)への収縮が通常より大きく出ることがある。視覚的にこれを識別するにはかなりの経験を要するが、正常部に比較して濃色で厚い細胞壁を持っている。尚、針葉樹では樹心の外側に「圧縮あて」が、広葉樹では樹心の内側に「引張りあて」ができる。


参考資料:褐囃z知識発行「木のデザイン図鑑」より


あい、あお
「あい」や「あお」は「ブルーステイン」とも呼ばれ、辺材変色菌のうち青色変色菌が材中で生産する青黒色のメラニン系色素により木材の白太部分が青黒く変色したものをいう。伐採後間もない原木や製材の保管中に菌糸が材深くに速やかに侵入し変色をもたらす。この「あい」や「あお」や「ブルーステイン」と呼ばれる現象は、一般的な木材表面に発生するカビとは違い区別されて扱われており通常の材料と同じように扱われている。変色菌自体は乾燥と共に進行は妨げるが、変色した部分は取れないため視覚的効果を下げることがあるが、木材の主要構成要素であるセルロースやリグニンをほぼ分解できないため、腐朽菌と異なり強度低下を引き起こすことはない。


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