株式会社マルホ


木材用語集



天然乾燥(てんねんかんそう)
太陽の熱と自然の風を上手に利用して、木質を傷めず、じっくり乾燥させていく乾燥方法を「天然(自然)乾燥」と呼ぶ。これに対し、「人工乾燥」とは乾燥機(釜)と呼ばれる大きな機械に木材を入れるなどして装置内の温湿度等を人工的に調整することで木材の乾燥を強制的に促す乾燥方法のことを言う。
「天然(自然)乾燥」では、木材の乾燥環境を人工的に操作することは困難で、広い場所と長期間の在庫が必要なため生産性が悪く、長期間に渡って細かく木材に手間をかけてやらないと表面割れが発生し易く、含水率も自然環境で可能な限りまでしか下げられない。良い製品を作るには、ただ天日で乾かすのではなく、実は細かい工夫と技術が不可欠なのである。一方で、木材が高温状態や過度な乾燥環境にさらされる事もなく木材細胞と抽出成分を最大限に生かした乾燥が可能なため、変色は少なく内部割れはなく木材本来の芳香が残った木質を傷めていない乾燥が可能であり、木材乾燥においては一番歴史がある乾燥方法である。
一方、「人工乾燥」には様々な乾燥方法が開発されており、「蒸気乾燥」、「高周波・蒸気複合型乾燥」、「除湿乾燥」、「減圧乾燥」など様々な方法があり、更に乾燥される木材の樹種や使用用途に応じて乾燥プログラムが各メーカーによって開発、設定されている。人工乾燥では、木材の乾燥環境をある程度人工的に操作できるため、生産性が良い他、木材表面に乾燥割れを出さないような乾燥や、含水率を自然界ではクリアできないような数値まで下げることも可能である。一方で、高温や過度な乾燥により、変色や外観から判断し難い内部割れの発生や木質を傷める危険性もある。
木材乾燥においては「天然乾燥」でも「人工乾燥」でも、何を目標にどのように製材し乾燥させるかで、出来上がる製品の品質は様々である。
株式会社マルホの「マイルドドライ」は木材の特性をうまく利用した上で商業ベースに乗せるために「天然乾燥」と「高周波蒸気複合型乾燥」を併用した乾燥方法を行い安定供給と安定した高品質を維持しています。






鉄汚染(てつおせん)
「鉄汚染」とはノコギリやカンナ、鉄クギなどに由来する鉄(金属)イオンと木材に含まれるタンニン(フェノール性の水酸基をもつ物質)が水分を介して反応し黒色化合物を生成し、接触した木材部分が黒褐色から黒色へ変色する現象のことである。
これによる強度の変化などはなく、日常生活においても意外に多く発生している現象であるため気にならない場合が多い。また、木材の変色は他の様々な要因で目立たなくなるケースも多い。含水率が低い材料であったり、湿度が低いと鉄や銅が接触しても発生しにくいが、湿度が高かったり雨天のような後には発生するケースが多く、タンニンを多く含む木材で発生し易くなる。フローリングなどでも金属製の製品を置いておくと、湿気等の水分により、黒っぽい変色跡が出る可能性があるため床面と直接触れないような工夫が必要である。以下に簡単な鉄汚染実験の様子を示しておく。



手刻み(てきざみ)
「手刻み」とは在来木造住宅の主要構造部分である梁、桁、柱、土台などの木材を墨壺、墨刺、曲尺、鉋やノミ、手鋸や電動工具などの道具を使い大工さんが自らの手によってひとつひとつ加工していく伝統技術のことである。梁や桁の組み合わせ方や継手や仕口の形状や方法にはプレカットにはできない加工や工夫が多く含まれており奥が深い。もし、「手刻み」のできる大工さんに会う機会があれば、そのこだわりを是非聞いてみていただきたい。一本一本木のクセを見ながら墨付けや刻みを行い組み上げる腕の良い大工さんの話を聞くとその全てにおいて工夫がなされており、日本の木造建築物の伝統と文化と現代の生活にあった工夫にに感銘を受けることだろう。大工さんの技術レベルにもよるが料理に例えれば素材を最大限に生かした調理をしているといっても良いだろう。住宅の工期の短縮、コストダウン、大工さんの高齢化や減少により現代では機械による全自動プレカット加工が普及し、「手刻み」による木造住宅の件数はかなり減っている。「手刻み」と「プレカット」のどちらが良いということは一概に言えないが、大切にしたい文化であり芸術である。⇒「プレカット」の項も参照



(注):上の「手刻み風景」写真と「手刻み物件」写真は違う大工さんの風景及び物件のため関連性はありません。



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