株式会社マルホ


木材用語集




カビ    ⇒  「腐朽」の項を参照



含水率(がんすいりつ)
木材でいう「含水率」とは対象となる木材から、完全に水分を抜き取った時(全乾状態)の重量に対して、どれだけの量の水分が含まれているかの割合(%)で表したものである。(一般の方には馴染みがない数値であるうえに他の多くの工業製品では総重量に対する水分の割合で表すのと異なるので間違えないようにしなければならない。)



近年、住宅を取り巻く環境は工期の短縮、工法の簡素化、プレカット等の機械による加工に加え、住宅の性能を数値化して表示していくようになってきている。この際、材料として使用される木材製品には寸法精度と寸法安定性を以前にも増して求められるようになっており、このひとつの目安として「木材の含水率」が重視される時代になってきている。


樹木は生きているとき、地面から水を吸い材内には大量の水が含まれているのであるが、これを伐採し、大気にさらすと、この水分が蒸発し、木材としての性質や寸法が徐々に変化していくのである。そのため、現代においては、その木材にどれだけの水分が含まれているか(含水率)を知ることが、木造住宅を建てる上で重要視されてきているのである。


ただし、この「含水率」と表現される数値にはたくさんのカラクリが隠されているため、木材を扱うプロはちゃんと理解して、説明できるようにしておかなければならない。
まず、木材に含まれる水分には、自由水結合水に分けられる。木材の細胞の内部や細胞と細胞の間に溜まっているのが自由水であり細胞壁物質と化学結合して結晶状をしているのが、結合水である。ちょうど、布袋に水を入れたものが細胞と考えると、中の水が自由水で布に浸み込んだ水が結合水といったイメージになる。そして、木材は自由水が蒸発しきった状態(繊維飽和点・・・含水率30%前後)の後に結合水が蒸発しはじめ、この時点から収縮等の変形がはじまるのである。この木材に含まれる水分の多い少ないを表す指標のひとつとして「含水率」が用いられている。前述したように、木材の含水率は水分の全くない状態(全乾状態)の重量に対する水分をどれだけ含んでいるかの割合を%で表しているのだが、実際に使われている木材製品に対する含水率とは、あくまで、目安であり、そして平均の含水率としか表現できないのが現状である。つまり、製品の一部分、あるいは製品の部分部分、断面の内側、外側で含まれる水分の量を平均したものを一般に「含水率」として表現しているのである


ここで、少し考えてみる・・・
たとえば、製品断面のある2点(内側と外側)の含水率を測定したとする。
      内側は26%   外側は10%   この場合の平均含水率は・・・
          (26%+10%)÷2=18%
     内側は19%   外側は17%   この場合の平均含水率は・・・
          (19%+17%)÷2=18%
つまり、部分的に含まれる水分の量にバラつきがあっても無視され同じ含水率に表現されるのである


木材の含水率には平衡含水率という外気の温度と相対湿度によって決まる含水率があるが、乾き過ぎている部分はこの点まで水分を吸い膨潤し、乾燥が不十分な部分は水分を吐き出し収縮するという性質がある。
要するに含水率のバラつき(水分傾斜)がその後の製品の変形に影響を及ぼす原因となる可能性があるのである。この程度を小さくすること、つまり含水率のバラつき(水分傾斜)を小さく木材を乾燥させることが木材の寸法安定性を維持するための手段のひとつとなるのである。この含水率のバラつき(水分傾斜)を軽視して目先の「含水率が高い低い」だけで製品の良し悪しを決めつけるのは問題があるのである。
ところで、含水率を正確に測るにはその木材製品を一度、全乾状態にしなければならないため実用レベルでの正確な測定は不可能である。また、含水率を測定する機器に含水率計があるが、これらの多くは樹種によって木材の比重をそれぞれ合わせるようになっているのであるが、同じ樹種でも一本一本木材の比重は違っており、正確に測定することは不可能である。つまり、実用レベルでは材料の数ヶ所を測定しその平均で「目安としての含水率」を出し目安として利用する方法しかないのである。


※ ㈱マルホの「マイルドドライ」は長さ、厚み、幅ともに含水率のバラつき(水分傾斜)を最小限に抑えるような工夫をして細胞にやさしい乾燥を心掛けています。

乾燥応力(かんそうおうりょく)  ⇒   「内部応力」の項を参照



乾燥割れ(かんそうわれ)


「乾燥割れ」とは木材が乾燥していく過程の中で「収縮の異方性」と「内部(乾燥)応力」の影響で発生する。
「乾燥割れ」には「表面割れ」と「内部割れ」があり乾燥方法と乾燥プログラムによって発生に差が出る。「表面割れ」は外観から目視で確認できるが、「内部割れ」は目視での確認は難しい。特に心持ち材において表面割れを抑え含水率を極端に下げようと人工乾燥を行うと外観上は美しい仕上がりの製品が出来るが、「内部割れ」が発生している可能性があるので注意しなければならない。
乾燥による「表面割れ」や「内部割れ」は乾燥方法と乾燥プログラムによって発生頻度が変わる。おおまかに説明すると木材は通常、製品表面と木口部分から水分が蒸発していき徐々に内部まで乾いていく。この過程において表面や木口の方が内部より乾いている状態が形成される(水分傾斜)。この時、木材表面は縮もうとする力(引張力)が発生しているが乾きの遅い内部ではそこまでの力は発生しておらず、これに耐え切れなくなった部分が表面割れとなって発生するのである。
 また、内部割れは木材表面からのみ熱を加える人工乾燥において「ドライングセット」と呼ばれる工程を組み込み含水率を木材内部まで下げようとした際に発生頻度が高くなる。「ドライングセット」とは乾燥初期に高温、低湿度の条件にして熱によって木材表面を軟化させ急激に水分を飛ばすことにより材質を不安定なものにし割れを抑え収縮率の低い硬い殻のような表面を形成する処置のことを言う。この状態の後に高温低湿で材内部まで過度に乾燥を進行させていくと木材表面は硬く固定されて動かない状態なのに内部では縮もうとする力が発生し、これに耐え切れなくなった木材内部で割れが発生し内部割れとなるのである。この場合、外観からの目視では割れの確認が難しい点が問題である。
※㈱マルホの「マイルドドライ」は天然乾燥と高周波蒸気複合型乾燥機を使用。天然乾燥では、木材の特質を利用した乾燥技術を取り込み、高周波蒸気複合型乾燥機では木材表面と内部を同時に温める方法を採用しているため木質を傷めず表面割れと内部割れを極力抑えた製品に仕上がっています。



乾燥材(かんそうざい)


木材でいう「乾燥材」は「生材(未乾燥材)」と区別される。「乾燥材」には天然乾燥材(AD材:air-dried wood)や人工乾燥材(KD材:kiln-dried wood)、シッピングドライ材(shipping-dry wood)などの意味が混在しており、木材に含まれる水分を意図的に蒸発させたものである。乾燥材は乾燥方法よりも乾燥度合によって更に細かく分類、区分されるている。
一般に構造用乾燥材はSD15(含水率15%以下)、SD20(含水率20%以下)、SD25(含水率25%以下)という含水率表示で乾燥度合を表現している。(SD:surface-dried=表面仕上げ乾燥材)
これに対し「生材(未乾燥材)」は挽き立て材や乾燥していない材を指し含水率が繊維飽和点(30%前後)以上のものが多い。木材業界では「グリーン(green)材」と呼ばれ「GR」と表記されることが多い。

間伐材(かんばつざい)


「間伐材」とは植林をした人工林において間伐作業によって生産された原木を指す。「間伐」とは林の中の木を時々適当に切り透かして日光が適度に当たるようにして成長のスピードや樹形をある程度人工的に操作し、利用目的に応じた木材を生産するための作業であると同時に林内に適度の光を入れることで下草の発生を促し表土の流出防止や保水能力の増大など森林全体を健全な状態に保つ効果がある。仮にこの間伐を行わない場合、木が成長するに従い枝が生い茂り、木と木の間隔はどんどん狭くなっていく。これにより、下の方の枝は日光が当たらなくなるため枝は枯れてゆき木はあまり太らず痩せ細った木になっていくと同時に土壌は荒れ果て軟弱なものとなり土砂災害等を発生しやすい森林となるのである。一見、生い茂った山に見えても実は地盤は荒れ果て痩せ細った木の群集になっている山は日本には沢山ある。戦後、杉やヒノキといった特定の樹種ばかりを密集して植林したことが今となっては山を荒廃させる原因にもなっているのである。


Copyright (c) 2012 Maruho co.,ltd All Rights Reserved.